2017年 3月 1日 - トルコ

ジェンダーに基づく暴力について知ろう

2016年が終わりに近づき、ジェンダーに基づく暴力 (GBV) に関する16日間アクションを祝う中で、私たちはジェンダーに基づく暴力というものが、依然としてあらゆる社会の中で存在することを思い知らされました。悲しくも、望まぬ移住を余儀なくされた人々のコミュニティの中にも、ごく一般的にまた顕著に見受けられます。人道支援という現場におけるジェンダーに基づく暴力の複雑さを理解することは、そうした問題を解決することへの第一歩となります。それゆえ私たちは、4年以上この問題にRETの心理療法士の一人として携わり、トルコの南東部にいる脆弱な状況に置かれた女性たちに向き合う、ノール・トゥラス(Noor Tlass)さんに詳しく話を伺いました。

ノールさん、私たちはジェンダーに基づく暴力という言葉を、通常あまりよく意識をしないで何気なく頻繁に使っていますが、あなたが普段気が付く誤った認識とは何でしょうか。

ジェンダーに基づく暴力という言葉の意味は、常日頃そその意味することが新しくアップデートされています。その中で、特に理解をしなければならないことは、GBVというのが、必ずしも皆さんの頭に浮かぶような出来事ではないということです。例えば、性的虐待はGBVの中でもその1つに過ぎません。

GBVは、父親、母親、家族の世話をする人、人道支援スタッフでさえ、その加害者になり得るのです。それゆえ、まず考えなければならないことは、そのコミュニティーまたコミュニティーに存在する人たちにとってこの言葉がどういうことを実際に指すのかということを説明することが必要であるということです。

RETでは、幸いトルコ政府、シリア人団体やその他のNGOとの良好な関係のおかげで、特段その他機関との連携という面では特に困難にぶつかるということはありません。しかし、私たちが抱えるメインの問題は、プログラムに参加する人たちにいかに正しく理解をしてもらうかということです。例えば、中には暴力を目のあたりにしても、当たり前のことと捉えてしまう人たちがいる。本当の意味で、人権という自分たちの権利について理解が及んでいないのです。であるからこそ、私たちはこの問題に関する啓発活動や、心理教育のセッション、そして法律に関するセッションを設け、人々が正しく自分たちの権利を意識し、理解するようフォーカスしています。ジェンダーに基づく暴力という、実に思いトピックであり、しばしばプライドや名誉といったことに話が及びがちです。だからこそ、私たちはいつも十分な時間をこの問題を語ることに費やす必要があるのです。

こうした権利に関する理解というのは、地域ごとに変えていくことが出来ると考えますか。

ええ、私の考えでは、人々が育った環境が変わることによって、その人たち自身の考え方も変わると思っています。例えばある人は、自分が関わる暴力するケースを明らかにしない一方で、ほかの地域やコミュニティではそうしたことを語ることに抵抗がない人たちがいます。禁止されていないのです。何が困難かというと、女性たちが往々にして自分たち自身が問題の種であると思い込んでしまっていることで、そんなことは全く当たらないのです。

あなたは男性にもGBVに関するトレーニングを行っていますか。そうだとすると、彼らはこの問題に対してどのような反応を示すでしょうか。

RETスタッフがそうである様に、男性と女性どちらも私たちのプログラムに参加しています。そして、男性たちは実にこのトピックに対して深い関心を示します。一般的にプログラムに参加する男性たちはしっかりと理解をしようとし、また女性の権利を守ろうとしています。私たちが通常考えがなことに反して、ジェンダーに基づく暴力を理解し、何をすべきで、どのように見つけるかということについて、特段男性であるからということで問題を感じたことはありません。

私たちがより明確な見方を持つために、あなたが日々仕事をするGBVに関する業務がどのようなものであるか簡単に説明をしてもらえますか。どのように問題を認識し、またどのようにそうした人々にアプローチをし、また実際にどのようなサービスを提供してるのですか。

GBVに関するプログラムの参加者は、アウトリーチ活動やその他のNGO、また地元政府や保健機関からの問い合わせによって、特定されます。時には、自ら私たちのもとを訪ねてくる人たちもいます。

ここから、全てが始まります。最初の段階として、参加希望者を登録する前にきちんとした理解のもとに参加者の同意を得ること、このことが極めて重要です。それは、プログラムに参加宇することが本人の自発的な意思に基づくものであることをしっかりと確認することにあります。同意なしには、私たちは何もなすすべがなく、この同意はすべての過程の各段階で常に確認をし続けます。プログラムに登録をすると、参加者の女性たちは、彼女たちが自分たちの日々の生活に活力を見出し、友人関係を築き、新たなスキルやこれまで経験をしてきた様々な暴力とそれがもたらす影響をを理解し認識できるよう、様々なアクティビティが容易さされた物理的にも精神的にも安心のできる環境にアクセスが可能となります。参加者たちは、心理的また社会的変化のきっかけとして手芸や心理ドラマの作成といった特定の活動に取り組みます。これらのグループは、女性たちが自分たちの経験を語り、社会的サポートのネットワークを築き、問題解決の能力、またそうした問題に対処するメカニズムを理解し身に付け、自らの自尊心や自信を取り戻すことをサポートします。グループと一緒に仕事をする通訳のスタッフたちは、一人一人の女性が、母国の言葉で自らの思いを語り、プログラムに参加しグループに溶け込むことを手伝ています。こうしたグループ内部でのサポートシステムが機能をすることで、女性たちは、一人一人のニーズに合わせて、地味音政府機関や特定の問題に特化したNGOといった外部の団体や専門家とのつながりをもつことが可能となるのです。

これがあなたが2016年10月にイスタンブールで行われた国連女子児童会議で報告をした内容でもありますね。このイベントで、あなたは該当する女性たちをどのように見つけ、どのように参加を促すかについても話をしていました。そのことについて少しここで教えてもらえますか。

文化的スティグマのせいで、多くの女性たちが声をあげることはありません。私たちは、トルコとシリア双方の女性が文化の違いを越え一同に会せるようランチや様々な企画を催します。これら催し物ののちに、私たちは彼女たちが十分に安心をして、また彼女たちが自身の思いを自由に述べられるよう私たちのセンターがどのような役割をするのか理解をしてもらった上で、最初のセッションを行うようにしています。こにより、当初はためらっていた女性たちも安心して参加することができ、こうした機会を十分に利用することができるのです。

その他にGBVに関するプログラムが成功するにはどのようなことが必要だと思いますか。

何よりも、一人ひとりに合わせたアプローチを取るということが大きな成果を生み出します。私たちのプログラムでは、参加者一人ひとりのニーズを汲み取り、また各事例を考慮して対応します。このように参加者の女性たち一人ひとりが、私たちのプログラムを最大限に活かすことが出来るよう細かい配慮を行っています。たとえば、女性の運転手を雇い彼女たちを送迎することで安心してもらい、また、妊娠をしている参加者、子供連れの参加者に至るまで、こうした参加者の女性たちのあらゆる心配事を考慮するようにしています。また、最も大事なこととして、私たちを信用してくれる彼女たちの匿名性、そして情報の秘匿性を確りと確保すること。このことは、コーディングシステムを使うことで、私たち直接ケースに携わる心理社会的カウンセラー以外の者に理解できないよう管理されており、アクセスが制限されています。RETでは、個人の癒し・尊厳・安全そして秘匿性に特別な注意を払って活動をしています。

既存のシステムに何か改善をしたい、または追加したい点等はありますか。

RETのシステムは一つの静的なものとはなり得ません。つまり、ケースによって、グループよって、段階によって、プログラムの参加者たちの経験や意見を踏まえながら進めます。具体的には、各セッションごと評価を行い、提案に広く耳を傾けることが重要な鍵となります。また、評価はGBVのセクションで働くスタッフをよりよく業務に従事させます。そして、システムそのものが私たちにどのような改善策が適切か教えてくれています。

スタッフの採用を行う際、何か特別な困難に直面することはありますか。GBVスペシャリストは特別な心理学者である必要はありますか。

はい、それはとても重要な点です。スタッフはしっかりとした経験を兼ね備えている必要があります。GBVの被害者たちはとても根深いトラウマを抱えている為、専門的な知識、そして関連する経験が欠かせません。それはそうした女性たちが専門的なサポートを必要としているからにほかなりません。したがって、私たちのスタッフは主に心理学士やソーシャルワーカーによって構成されています。また、各ケースを確実に関連する政府機関につなぐための弁護士も欠かせません。

私たちは提供するサービスに関連したトレーニングをしっかりとすることも配慮しています。特に、スタッフ自身のケアも大事な業務の1つであり、これによって彼女たちが耳にする個別具体的なケースから適切に自信を精神的に守ることが出来るようにケアしています。

たしかに、こうした現場で働くことは精神的負荷が高いと思います。こうしたスタッフにも同じようなプログラムや方法で心理的サポートをしているのですか。

スタッフであろうと人間であり、感情的な生き物です。私たちは、自己ケアに関するアクティビティをスタッフが自分自身の精神面の変化と向き合うことが出来るよう指導しています。彼女たちの行動から何か通常と異なる何かが現れた時、例えば激しい怒りとしましょう。こうした時、私たちは自己ケアの手法を自らに試すよう指導しています。GBVの被害者と関わる心理社会療法士やケースワーカーたちにも同様に接しています。

最後にではありますが、トルコ南東部で働く以前に、シリアや治安の不安定な地域で活動をしていたと聞いています。紛争地域でこうした職務に取り組むことと、安全な地域で取り組むこと、具体的などのような違いがあるのでしょうか。

私はいまここ、とても安全な場所にいます。それとは反対に、国境を越えたところでは、大変過酷な毎日を過ごし、また自分自身が無事家に帰ることができるのかも分からない環境に身を置いていました。紛争地域では、スタッフや参加者の身の安全を守るためセッションを途中でストップすることがあります。また、ほかのケースでは参加者の家族がこうしたGBVの問題を外で話されたくないということで、諦めなければならないこともあります。一方で、安全な場所では、政府の存在や、病院、警察、司法で働く人々の存在が大変大きな違いを生みます。なぜなら、人権やGBV被害者が提供する情報の秘匿性を確保できるに足るしっかりとした機関が存在するからです。

最後に今後のご活躍をお祈りする前に、何かノールさんからございますか。

GBVの問題に取り組む人すべての努力を通じて、世界がこうした女性を単なる被害者として理解するのではなく、一人の女性として理解する様になることを強く希望します。彼女たちには、想像もつかないほどの強さがあり、また問題に真正面から向き合い、日々を過ごし、より良い生活を送ることが出来るよう戦い続けています。このことはここにいる私たち皆が心に留めておくべきことだと思います。

貴重なお話をどうもありがとうございました。

Updated, 2017年 3月 1日